西洋と東洋について(1)

 「ヨーロッパはどうだった?」この時期になると頻繁にされるこの質問。様々気付きはあったと思うのだが、こうして話しながら考えてみると、文献をよんで知識として得る過程や、主観的な立場から欧州を日本と相対化する過程で気付きがあったように思う。そして、西洋・東洋という二項対立もラジカルな部分では共通しているところがある、言い換えるならば、二項対立のどちらともつかないことがあった。確かに個々のふるまいには多少なりとも違いがあるかもしれない、以前文化についてで「菊の刀」、日本の「恥の文化」と欧米の「罪の文化」について記述したのを改めて考えてみると、外的批判の意識や集団主義に対する価値というのは、これを破ったこと対する反動が自己の将来に不都合を与えることを無意識に感じてしまっている。また欧米の内的良心に従う心も、抵抗しがたい自己精神の絶対的な安定を志向することの反動と受けとめる事が出来る。つまりこれら二つの文化は、不変性の希求という点で共通しているのではないだろうか。個々、日常の中で情緒をもっているし、文化の違いはあれコミュニケーションの必要性は欠くことが出来ない。
 一方で、日本にいても海外にいても根本的な部分で共通ならば、果たして自分自身がのこの場にいた意味はなんだったのか、そのことについては、また時間のある時に書きたいと思う。

Prague